ishibashi_masahiro’s diary

主として本学人間科学/教育心理科学専攻の卒業生にむけた案内等と,仕事用のメモなど

認知症と診断されるADHDがある?

 

Sasaki, H., Jono, T., Fukuhara, R. et al. Late-manifestation of attention-deficit/hyperactivity disorder in older adults: an observational study. BMC Psychiatry 22, 354 (2022). https://doi.org/10.1186/s12888-022-03978-0

 

アブストをDeepL先生に下訳してもらいました:

背景
注意欠陥・多動性障害の発症年齢は通常生後12年間であるが、近年、遅発性の注意欠陥・多動性障害の報告もある。これらの報告は若年成人のものに限られており、高齢者における詳細は不明である。そこで、我々はこれまでに、老人期に発症する「超」遅発性注意欠陥・多動性障害の症例報告を初めて行った。今回の観察研究では、当院認知症外来を受診した高齢者を対象に、このような注意欠陥・多動性障害の有病率と臨床的特徴について検討することを目的とした。

調査方法
2015年4月1日から2017年3月31日までの2年間に当院の認知症専門外来を受診した連続した患者446名を本研究の対象とした。まず、当院の認知症専門外来で認知症の有無について診察を行った。認知症と診断されなかった患者について、当院の発達障害専門外来で注意欠陥・多動性障害の有無を調べた。最後に、注意欠陥・多動性障害と診断された患者について、その臨床的特徴を明らかにするため、詳細な調査を行った。

結果
446名(女性246名、男性200名)のうち、最終的に注意欠陥・多動性障害と診断されたのは7名であった。この7名は当初アルツハイマー病が疑われたが(年齢から考えて、7名中6名は早期発症のアルツハイマー病が疑われた)、これらの症状は注意欠陥・多動性障害によるものであることが判明した。これらの患者には、(1)全調査対象者より有意に若い、(2)不注意関連症状が優勢である、(3)潜伏性発現である、(4)発現前にストレスとなるライフイベントを経験している、という4つの共通した特徴があった。

結論
前回の我々の報告は、超遅発性注意欠陥・多動性障害患者が誤って認知症と診断される可能性を示唆するものであったが、今回の観察研究では、超遅発性注意欠陥・多動性障害患者が誤って認知症と診断される可能性を示唆するものであった。今回の観察研究では、当初認知症が疑われた患者の1.6%が、実際には注意欠陥・多動性障害と診断されたことが示された。この研究はまた、前回の報告で述べた「老年期発症性 late-onset」は「老年期顕在型 late-manifestation」と表現した方がよいことを示した。臨床医は、認知症患者、特に早期発症のアルツハイマー病患者に遭遇した場合、注意欠陥・多動性障害の遅発性を鑑別診断に考慮すべきである。

熊大のプレスリリース:

www.kumamoto-u.ac.jp